20. プロメテウス (2012) : Prometheus

『プロメテウス』(Prometheus)は、リドリー・スコット監督による2012年のアメリカのSF映画である。当初、同監督の『エイリアン』(1979年)の前日譚として企画されたが、後にその見解の確定性を弱める発言がなされるようになった。

監督:リドリー・スコット
出演:ノオミ・ラパス、マイケル・ファスベンダー、シャーリーズ・セロン、ローガン・マーシャル=グリーン

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Prometheus (2012) / プロメテウスのあらすじ

太古の昔、岩山と激流しか見当たらない惑星。その地表に降り立った人型異星人が半球形の容器に満たされた黒い液体を飲むと、その体は急激に溶解し始め自らのDNAを惑星に拡散させた。

時は流れて西暦2089年、考古学者のエリザベス·ショウ(ノオミ・ラパス)とチャーリー·ホロウェイ(ローガン・マーシャル=グリーン)は新たに古代遺跡を発見した。その壁画の構図はそれまで複数の古代文明で見つかった物と明らかに共通点が見られるものであった。ここから人類が追い続けていた種の起源の答えとなる未知の惑星の存在が浮かび上がる。

ウェイランド・コーポレーション選抜の科学者たちを中心に編成された調査チームは、宇宙探査船プロメテウス号に乗り込み星図の示す別の太陽系を目指して出発する。乗組員が冷凍休眠で眠る間、アンドロイドのデイヴィッド(マイケル・ファスベンダー)が航行を担当し、来るべき宇宙人との意思疎通に備え祖語の学習・研究に励む。

2093年12月21日、機関が自動停止しLV-223が目前に迫った事を知らせた。冷凍休眠から目覚めた乗組員は、故人となったウェイランド社長からのホログラム映像による激励と今回の調査目的について説明を受ける。ショウは創造論的発想でエンジニアなる宇宙人が存在し、それが人類誕生の謎を解く創造主だと語る。ウェイランド・コーポレーションの重役にして調査ミッション責任者のメレディス・ヴィッカーズ(シャーリーズ・セロン)は計画自体に懐疑的で、万が一エンジニアと遭遇しても一切コンタクトを取らず、直ちに自分へ報告するよう忠告する。

12月25日、プロメテウス号はLV-223の大気圏に突入。着陸地点の探索中、複数の滑走路のような直線と複数の巨大なドーム状の岩山を発見し、その付近の平坦な場所へ着陸。日没が迫るので船外活動に難色を示すヤネック船長の制止を聞き入れないホロウェイたちは、クリスマスプレゼントを開けずにいられるかとばかりに、即席で調査隊を結成し岩山へ向かう。

岩山に見えたのは実は人工的に造られた何らかの構造物であった。途中から別行動をとったデイヴィッドが映像記録装置を発見し、起動させるとエンジニアとおぼしき人間大の生命体が走って行くホログラムが再生され、その先にドアで頭部が切断されたエンジニアの死体を発見する。測定により、その死体は約二千年前のものと分かった。ドアを開くとエンジニアの頭部と巨石人頭像のような巨大な頭像、および円筒形の容器が無数に置かれた部屋が発見される。部屋の床面にはミミズのような小生物が棲息していた。一方、外では急速に天候が悪化し、嵐が接近しつつあった。そのため調査隊は一時撤収を余儀なくされる。混乱に乗じてデイヴィッドは、秘密裏に容器の一つを持ち出す。彼が立ち去った後、残された容器からは黒い液体があふれ始めていた。一方、人間型異星人の死体に驚いて先に帰ったはずの生物学者ミルバーンと地質学者ファイフィールドの二人は構造物の中に取り残されてしまった。彼らは内部をさまよい歩くうちにエンジニアたちの死体の山を発見する。

プロメテウス号に戻ったショウたちは、持ち帰ったエンジニアの頭部からDNA型を分析し、人間のそれと完全に一致するとの結論に達する。同じ頃、別室でデイヴィッドは円筒を開き、中のアンプルから黒い液体を採取する。一方、ホロウェイは船内でくつろいでいたが、そこへデイヴィッドが現れ語りかける。彼は採取した黒い液体の正体を確かめるべく、それをシャンパンにそっと混入しホロウェイにすすめる。ホロウェイはシャンパンを一気に飲み干した。ショウも自室に戻ってくつろいでいるところへホロウェイが現れ、二人はそのまま性交する。

夜もふけて、ヤネック船長以下プロメテウス号の乗組員全てがくつろいでいる最中、二人の学者たちはなおも構造物内をさまよい歩き続け、やがて円筒形の容器が無数に置かれた部屋に差し掛かる。するとあふれ出た黒い液体のたまり場から何か生き物が飛び出した。それはミミズのような小生物が変異した、乳白色でコブラのような軟体の生命体であった。突然それがミルバーンに襲い掛かり、腕に巻きつく。引き剥がそうとファイフィールドが生命体の身体を傷つけると酸性の体液が噴き出す。体液はファイフィールドのヘルメットを溶かし、苦悶する彼は黒い液体の中へ転倒する。コブラ型生命体はミルバーンの溶けた服の隙間からヘルメットまで入り込み、口から体内へ侵入して彼を殺してしまう。

翌朝、ホロウェイは自分の身体に何か異変が生じているのに気づく。嵐は静まり、調査隊は再び構造物へ向かう。その内部でミルバーンの死体を発見するが、ファイフィールドの姿は消えていた。デイヴィッドはまたも別行動で秘密裏にエンジニアの宇宙船の操縦室を発見し、ホログラム映像からその操縦法を学習、エンジニアの一人が冷凍冬眠状態で生存していることを知る。ホロウェイは急速に体調が悪化し、調査隊は彼をプロメテウス号に連れ帰る。しかし、船内感染を恐れたヴィッカーズは彼の乗船を拒み、もう助からないと覚悟を決めたホロウェイを火炎放射器で焼き殺してしまう。

それを見たショウは、ショックのあまり気絶する。やがて彼女が目覚めると、目の前にデイヴィッドが戻ってきていた。体内スキャンの結果、わずか10時間前の性交で、彼女は先天的不妊にもかかわらず妊娠3ヶ月の状態と知らされ、しかもそれは人間以外の生命体だという。正体不明の生命体が体内で急速に成長していると確信したショウは、堕胎させず地球に戻るまで長期睡眠させようとするクルーたちから逃れ、ヴィッカーズの居室兼専用の地球帰還モジュール内にある全自動手術装置で帝王切開手術を受けようとする。その装置は男性専用のため堕胎は不可能と処置を拒否されるが、腹部の異物摘出に指示を変更する。彼女は苦しみながらも手術に成功。体中から取り出されたのはタコのような姿をした乳白色の幼体であった。パニックに陥ったショウはそれを全自動手術装置の中に閉じ込め逃げる。

一方、行方不明だったファイフィールドがプロメテウス号に戻ってきた。しかし、彼はもはや人間ではなくなっていた。知性は失われ、顔は融解したように変貌し、人間以上の身体能力を身に着けていた。彼に歩み寄った隊員がまず殺され、暴れ回ったファイフィールドはさらに数人を殺したが、ヤネック船長らによって焼き殺された。

その間、ショウは寿命が尽きたと思われたウェイランドが、実はプロメテウス号の一室に同乗していることを知った。デイヴィッドがヴィッカーズの指示に従わない行動を見せたのは、社長であるウェイランドの指示命令が優越されたからであり、ウェイランドは創造主たるエンジニアと会い、自分を老衰による死から救ってくれるよう直接頼みこむ考えであった。しかしショウはこの場所に来たことは間違いだったと述懐する。

ヤネック船長は、この場所はもともとエンジニア達の母星ではなく、彼らが作りだした生物兵器 (黒い液体) をテストするための試験場で、生物兵器が暴走したのではないかという仮説をショウと話し合うが、答えは出ない。

ウェイランドたちは支度をしてエンジニアの宇宙船操縦室へ向かう。見送るヴィッカーズはウェイランドを父と呼んだ。デイヴィッドは冷凍冬眠中のエンジニアを目覚めさせウェイランドの延命を申し入れるが、突如エンジニアは彼の頭部を引きちぎり、ウェイランドたちを次々と殺害してしまう。更にその宇宙船操縦室に乗り込みハッチを閉め、離陸の準備を始める。ショウは宇宙船から脱出するが、機能し続けるデイヴィッドから、エンジニアが黒い液体を地球に拡散させるつもりであると連絡を受ける。ディヴィッドはエンジニアの行動をずっと監視し続けていたのだった。

ショウはエンジニアが地球の破壊に向かうとヤネック船長に報告し、飛び立とうとする宇宙船を阻止するよう説得する。船長と副操縦士二人はプロメテウス号を宇宙船に激突させ墜落させることに同意するが、ヴィッカーズは船との心中を拒否。そこで船長は彼女に脱出ポッドを使用し40秒以内の退船を指示した。まず彼女専用の居住モジュールを本船から射出し、次に非常脱出ポッドで脱出。船長たちはそのままプロメテウス号でエンジニアの宇宙船を追跡し、それに追突して見事撃墜した。すんでのところでプロメテウス号から脱出したヴィッカーズだが、そこへ爆発した宇宙船の破片が降り注ぎ、果ては墜落してきた宇宙船の残骸で圧死してしまう。

同じく残骸で圧死したと思われたショウは岩と宇宙船との隙間でかろうじて助かった。やがて気密服の酸素残存量減少警告音声で目を覚まし、追加の酸素を得るためヴィッカーズの居住モジュールへ入るが、摘出処置を受けた全自動手術室内に、幼体から今や7本の太い触手を持つ巨大な軟体生物に成長した生命体がいるのを見る。するとそこへ墜落から生き延びたエンジニアが復讐にやって来て、ショウに襲い掛かるが、彼女は絶妙なタイミングで全自動手術室の扉を開放し、巨大化した生命体がエンジニアを襲っている間に逃げ出す。エンジニアは巨大生命体と格闘するうちに頭部に巻きつかれて昏倒する。

ショウは絶望に打ちひしがれたが、その耳にいまだ機能するデイヴィッドの声が聞こえてきた。そこでショウは無事に残っていたバギーで例の構造物へ向かい、エンジニアの宇宙船操縦方法を習得したデイヴィッドを回収し、更に別のドームに残されていたエンジニアの宇宙船へ向かう。彼女らは、LV-223は死の星でありこのメッセージを受信しても決して発信源を探すな、という警告を残す。そして一連の行動の動機を探求すべく、エンジニアの宇宙船を使って彼らの母星を目指し旅立った。

一方その頃、残された居住モジュール内に倒れていたエンジニアの胸を突き破り、尖った頭を持つ新たな生命体が出現した。それは起き上がると奇怪な産声を上げる。その口の中には、もう一つの「飛び出す口」があった。

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